工事の流れ

1、事前調査

工事着手前に、工事の進め方の計画を立案します。建物は一つ一つ形が異なりますし、敷地状況や近隣状況なども工事計画に影響してきます。大規模修繕工事を滞りなく安全に実施するためには、何が必要でどんな問題があるのかを洗い出していく重要な作業です。

2、申請業務

主に大規模修繕工事に不可欠な足場についての申請を関係省庁に提出します。事前調査の結果、足場の設置作業の際に道路に搬入車両を止めて作業しなければならなくなった場合や足場がやむをえず建物敷地外の歩道や道路に張り出してしまう場合などには、所轄警察署や自治体の許可が必要になります。また工事に必要な電源を確保するために電力会社に送電の申請なども行います。

3、住人様告知及びご近隣挨拶

工事を実施する日程が確定したら、マンションの住人様に告知致します。告知方法は住人様向け説明会を集会室や自治会館などで開催し併せて文書で郵便ポストに投函します。大規模修繕工事は近隣に工事騒音などで影響する工事ですので、隣接する建物や戸建て住宅に直接訪問して工事説明をします。特にマンションに敷地が無く足場などが隣地に張り出してしまう場合などは所有者様の許可が必要になってきます。

4、仮設資材の設置

工事期間中だけマンション敷地内に設置させて頂く設備があります。仮設事務所やトイレなどがそれです。設置する場所は極力住人様にご負担がかからない場所で提案させて頂きますが、駐車場と足場の設置位置が接近してしまう場合は、敷地外の月極め駐車場などの安全な場所へ移動して頂く場合もございます。

5、足場の組み立て

大規模修繕工事は主にマンションの外壁を直す工事ですので、高所作業用の足場が必要不可欠です。住人様や敷地外を歩行する方々を安全に誘導するため警備員を配置致します。当社では安全は元より作業のしやすい足場を組み立てることを現場の目標としております。無理な恰好で作業していては作業員の体に負担を掛け、質の高い仕事はできません。

6、外壁劣化調査

ここまで見積書を提出し、契約をして工事を進めてきたのですが、実際の劣化状況などは足場がなければ調査ができない建物全面を調査しないと修繕する数量が把握できません。外壁劣化調査のでは、工事契約時の数量より増減する場合があります。

7、下地補修工事

建物の外壁が塗装で仕上げてあるとして、下地とはコンクリート自体のことです。大規模修繕を実施するということは建物にひび割れや塗装の剥がれなどの損傷が発生しています。ひび割れの上に塗料を塗ってもひび割れは治りません。下地補修工事とは仕上げの塗料を万全な状態で塗装できるようにコンクリート面を直す工事です。

8、タイル工事

コンクリートの構造物を保護し、建物のデザインにも関係しているタイルも年月が経過するとひび割れたり裏側に空間ができてしまう浮きという劣化症状が発生します。こういったところを修繕するのが大規模修繕工事におけるタイル工事です。ここで問題になりやすいのが使用するタイルの材料です。新築から10年も経てば当時販売していたタイルは廃盤品となっていることがほとんで、そもそも一般には販売していないタイルを特注に製作している場合もあります。大規模修繕工事用に特注でタイルを製作することになれば納期も掛りますので使用するタイルの検討は工事着手以前の早い段階で検討に入ります。

9、シーリング工事

建築物はどうしても各所に継目ができてしまいます。窓の廻りや建物の階層ごとある目地がそれにあたります。その隙間を埋めて雨水などが浸入しないようにしているのがシーリング材という材料です。この材料はゴムのように弾力がある材料ですが劣化が進行すると固くなっていき最終段階では縮んでしまい隙間ができてしまいます。ですので大規模修繕工事では劣化したシーリング材と新しく施工し直します。

10、外壁塗装工事

読んで字のごとくですが、単純にペンキを塗るだけではありません。まずタイルと同じようにどんな色で塗るのかということを検討しなければなりません。マンションは区分所有者様の共有財産ですので、現状の色を変える場合は皆様の同意無しに進めることは予期せぬトラブルになることもあります。一般的には施工会社から数パターン提示してアンケート形式で決定する場合が多いです。また市町村の条例であまり原色に近い派手な色は規制されている場合もあるので確認することも必要です。

11、防水工事

屋上の床面やバルコニーの床面及び廊下・階段の床面などが防水工事の施工対象になります。床面などの水平面は、外壁の垂直面に比べて漏水するリスクが高まるため塗料よりも耐久性に良い防水専用材料を使用します。また傾斜した外壁なども同様のため防水材料を使用することが望ましいです。床面の防水は大規模修繕の仕上げ作業です。この後は基本的には作業は入りませんので、汚れなどが付着しないように注意して施工します。

12、足場の解体

足場や仮設資材を解体・撤去してすべての作業が完了します。また足場がなくなっては手直し作業が発生した場合に作業が困難になってしまいますので、足場解体前のチェックは入念に行います。また併せて住人様にアンケート用紙を配布し、塗り忘れや工事による汚れなどがないか記入して頂きます。

13、お引き渡し

すべての作業が終了しましたら、工事が完了したことを確認して頂くために発注者様と一緒にマンションを見回って確認し、完了報告会を着工時と同様に集会室等で開催させて頂きます。また工事内容ごとの工事中の作業写真やその他資料をまとめた竣工図書をお渡し致します。