更新日:2024.12.09

はじめての大規模修繕。検討の流れとおさえておきたいポイント

マンションの長期修繕計画では、大規模修繕工事の実施周期を12年毎に設定していることが多く、その数年前から実施に向けての検討が開始されます。とくに1回目の大規模修繕工事では勝手がわからず、マンション内にも経験者がいないことがほとんどのため、戸惑われる場面も多いのではないでしょうか。大規模修繕の実行段階へとこぎ着けるまでには、いくつかのステップを踏んで進めていく必要があります。

以下、各ステップとおおまかな流れについてご説明します。

大規模修繕工事の検討ステップ

1. 工事内容を把握する

一口に大規模修繕といっても、実際にどんな工事が行われるのか漠然としたイメージしかわかないかと思います。はじめに一般的な大規模修繕における各種工事をご紹介します。

仮設工事足場等の資材を設置する工事
下地補修工事コンクリートのひび割れや損傷を修復する工事
タイル補修工事外壁タイルの部分補修をする工事
シーリング工事外壁や窓周辺のシーリングと呼ばれる防水材を補修する工事
外壁塗装工事マンション共用部分の壁や天井を塗り替える工事
鉄部塗装工事鉄で製作された扉や駐車場等を塗り替える工事
屋上防水工事屋上に施工されている防水加工を補修する工事
バルコニー防水工事バルコニー床面の防水加工を補修する工事
廊下、階段床防水工事廊下、階段床面の防水加工を補修する工事

2. 建物診断の実施

建物の現状を把握するための建物診断を実施します。

長期修繕計画書では、多くの場合、フルスペックの大規模修繕工事を想定した予算計上がなされています。しかし、実際に必要な工事の内容は建物の状態により変わってきます。状態がよく部分的に修繕を先延ばしできるケースもあれば、逆に著しく劣化が進行しているなど、工事を急がなくてはならない場合もあります。また、新築工事施工会社の瑕疵担保責任期間は10年間です。明らかな瑕疵と認められれば、施工会社のアフターメンテナンスを受けられる可能性もございます。修繕内容を明確にしていくためにも、建物診断の実施は重要なステップです。

3. 住人アンケート調査

後々の総会決議で合意を取り付けやすくするためにも、調査理事会メンバー以外の方にも広く意見を聞く住人アンケートは重要になります。大規模修繕工事に直接関連のないご意見については、工事内容に反映させることは難しいかもしれませんが、マンションの根本的な問題点が見えてくることもあります。

4. 修繕履歴の確認

計画上予定されているフルスペックの大規模修繕において、既に対応済みの修繕内容があれば事前に確認して工事計画から除外します。屋上防水や鉄部塗装工事の一部などが先行して実施されている場合があります。

5. 工事内容の選定

収集した情報を参考に工事内容を決定していきます。大規模修繕工事では建物周囲に足場を設置しますので、それに伴い修繕が可能になる部分は必ず工事内容に盛り込んで計画します。

6. 施工業者への見積依頼

大規模修繕工事の施工会社へ見積作成を依頼します。比較検討のためにも、2~3社程度から見積もりを取得するのが一般的です。しかし見積書の書式は各社違いがありますので、並べてみても比較が難しいかもしれません。そこで見積依頼の際、管理組合様から見積条件書や工事項目明細書を提示できれば比較がしやすくなります。取得した見積もりと予算が合わなければ再び工事内容を選定する必要があります。

7. 施工業者の決定

見積書の取得や各社担当者との面談を経て、最適と思われる施工会社を管理組合様のご判断により決定します。コストはもちろんのこと、対応力なども重要な決定要因になるかと思います。

8. マンション総会で決議

マンションの管理規約によっても変わりますが、大規模修繕の実施には総会にて区分所有者総数の1/2または3/4以上の承認を得る必要があります。提出する議案書には、工事時期、発注先の企業、発注金額、予備費用などを記載し審議しま

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