更新日:2024.12.17

マンションの大規模修繕 ベランダ(バルコニー)はどこまで片付ける?事前準備や注意点について

大規模修繕工事ではベランダ(バルコニー)の修繕作業があります。マンションのバルコニーは共用部分ではございますが、実際にはそこでガーデニングを楽しんだり、室内に置けない物を保管したりと私的に使用されていることが多いものです。弊社にもお客様から大規模修繕工事の際のバルコニーの取り扱いについて、よくお問い合わせを頂戴します。この記事では、多くの方が不安に感じておられる大規模修繕の工事期間中のベランダの諸問題を解説させていただきます。

ベランダ(バルコニー)の荷物は事前に片付けが必要

工事期間中は、ベランダ(バルコニー)に物が置かれていない状態にしていただく必要がございます。大規模修繕工事では塗装作業を実施しますが、その際に荷物が置かれていると、その部分の作業ができなかったり、また、何かの拍子で作業員が傷つけてしまったりと、トラブルの原因となりかねません。

エアコンの室外機と物干し竿以外は原則撤去

移動が実質的に不可能なエアコン室外機や利用頻度の高い物干し竿は、原則として置いたままで構いません。床の防水工事などの際、室外機は施工業者で少しずつ動かしながら作業を行いますが、2段置きの室外機等は移動するための配管のあそびがなく、一度配管から室外機を外して防水作業などを行う場合もあります。

*網戸も取り外す                                                         

アルミサッシの網戸はシーリング作業を行う際に邪魔になってしまうため、取り外しが必要です。一般的な大規模修繕工事の際は、網戸を保管するための大型のビニル袋を各戸に配布し、室内で保管していただきます。

私物の撤去・廃棄は基本的に居住者が行う

荷物の移動や廃棄は基本的に居住者様自身で行っていただく必要がございます。施工業者に依頼することも可能ですが、有償での対応となることがほとんどです。

ベランダ(バルコニー)の荷物で困ったときは?

室内に荷物の保管場所がないとき

ベランダ(バルコニー)の荷物を室内に置ききれないとき、マンションによっては一時保管スペースが設けられるケースもあります。そうでない場合はトランクルームを契約する、友人・知人に一時的に預かってもらうなど、自分で保管場所を確保しなくてはなりません。

*植物・植木鉢などの保管

光合成を必要とする植物など室内への移動によって枯れてしまう心配がある場合、マンション敷地内に空地があれば、工事期間中の植木鉢置場として開放する手段がございます。また、施工業者に依頼すれば、足場で使用する鋼材で棚を組み立て、設置スペースに余裕がなくても多くの植木を置けるように工夫することも可能です。

自力で荷物を移動できないとき

ご自身での荷物の移動や片付けが難しい場合は、一度施工業者へ対応について相談されるとよいかと思います。専門業者の紹介や、会社によってはオプション料金で移動を請け負ってくれる場合もあります。

*物置の移動について

先述のとおり、エアコン室外機と物干し竿を除き、ベランダ(バルコニー)の荷物は撤去が原則ではあるものの、移動が難しい大型荷物の代表例に物置があります。購入時には搬入業者が設置・組み立てを行ってくれますが、いざ自分で移動するとなるととくに女性などには酷なお話です。こういった場合は物置の中身は居住者様ご自身で空にしていただき、物置はバルコニーに置いたまま、施工業者が作業時に動かしながら作業を行う方法もございます。ただし、バルコニーが狭くスペースがない場合は対応が難しいケースもあります。                                                 

ベランダ(バルコニー)の私物・網戸の撤去はいつまでに?

大規模修繕工事はまず足場の組み立て作業から始まります。作業期間は建物の規模にもよりますが、1週間~1カ月くらいのケースが多いです。足場の組み立て中にバルコニー内に立ち入ることはほとんどございません。足場の組み立てが完了した後、バルコニー内で下地補修やタイル補修工事を行います。

バルコニーの片づけをお願いするタイミングについては、施工会社によっても違いがあるかもしれませんが、バルコニーへの立ち入りを要する作業が始まる直前までには片付けていただくよう、施工会社からアナウンスすることが一般的です。

大規模修繕 ベランダ(バルコニー)に関するおもな工事

大規模修繕におけるベランダ(バルコニー)の工事としては、おもに以下のようなものがあります。

1. シーリング工事                                                                                                                                                                                                                           アルミサッシとタイルの間に触ると弾力のある材料がシーリングと呼ばれるものです。工事では劣化したシーリングをカッターなどで撤去し、新しいシーリング材を施工します。

2. 下地・タイル補修工事                                               外壁の劣化症状である、コンクリートやタイルのひび割れ等を修復する工事です。

3. 外壁高圧洗浄工事                                                        外壁を再塗装する前に、ほこりを除去するため圧力をかけた水を強力に噴射し外壁を洗い流します。

4. 外壁・鉄部塗装工事                                                            一般的なマンションでは天井部分や手すり壁の室内側は塗装で仕上げられております。また、壁面以外にも、雨水配管や隣の住戸との仕切りの隔て板などが塗装作業の対象です。

5. 防水工事                                                           床面の防水塗装や防水シートの再施工を行う工事です。

ベランダ(バルコニー)に関する疑問・注意点

ベランダ(バルコニー)の修繕作業の際、よくいただくご質問などについて以下にまとめます。

荷物をベランダに置けない期間や補修作業の期間はどれくらい?

一般的には、足場の組立完了直後から塗装や防水などすべての作業が終了し、足場を撤去する前の期間までを移動期間としております。作業期間は延べ1カ月前後となる場合が多いです。

洗濯物はどうなる?

工事期間中は部屋毎の作業の有無を毎日居住者様にご案内いたします。その日作業がない部屋は洗濯物を干せますが、作業がある部屋は洗濯物を干すことができなくなります。もちろん休工日となる日曜日や祝日はバルコニーをご利用いただけます。

エアコンは使ってもよい?

エアコンの稼働にともないドレンホースから水が排出されます。壁や天井部分の塗り替え作業では問題になりませんが、床面の防水作業時には、作業箇所が濡れていると塗料や接着剤を塗ることができません。ドレンホースを延長してバルコニーの外側に排出できればよいのですが、これが不可能な場合はエアコンの使用を一時的に制限させていただく場合がございます。

においや騒音が心配…

ベランダ(バルコニー)には給排気口や、建物によりキッチン・トイレの換気扇の排気口があります。工事ではシンナー臭のする塗料を使用しますので、こういったところから臭気が室内へと侵入してしまうこともございます。バルコニーから室内へ臭気が流れてしまった場合は、玄関を開けて空気を循環させる必要があります。

騒音については外壁タイルを剥がす作業で多く発生します。たとえ自宅部分のバルコニー以外で作業してしていても、振動が伝わり音が響くと思います。この作業は大規模修繕工事期間のうち数週間から1カ月程度続きます。また、タイルの剥がし作業ほどではないものの、高圧洗浄で使用する機械はエンジン式のため、機械から近いバルコニーでは、まるでバイクを吹かしているような騒音が発生します。これは先ほどのタイルと比較すれば短期間となります。

工事期間を不安なく過ごすために

大規模修繕で何が行われ普段の生活にどのような影響が出るのかが事前にわかっていれば、実際に工事が始まっても慌てることなく対処できるかと思います。疑問やご心配な点は遠慮なく施工業者へご確認ください。住人様におかれましては、工事開始前に可能なかぎり不安な気持ちをクリアにして臨んでいただければと願っております。

ページトップへ